2009年10月30日

生きている事を実感できる場を

我が家にいながら家の外の領域へ引き連れられている現象を、ドイツの哲学者ハイデガーは「故郷喪失」と名づけました。


「故郷」とは、住み慣れた人間の本来の居場所、いわば自分が本来の自分に目覚める場、生きていることをリアルに実感できる場です。


「故郷」から私たちを引き離し、絶えず外へと向かわせているものとしてハイデガーが挙げているのは、テレビとラジオです。


この二つの媒体に対する私たちの関わり方は、受動的ですが、携帯は能動的なバーチャル空間を作っています。


しかし、この空間が人によって実に魅力的で刺激的であることは、テレビやラジオの比ではありません。


普段、「故郷」のことが私たちの意識にのぼらないのは、携帯によるこのバーチャルがリアルに感じられるようになったからです。


「郷愁」すら忘れられているからです。


となると、持っていないと不安にさせる携帯は、「故郷」から私たちをますます遠ざけているように思います。


では、何が私たちを「故郷」に帰還させることができるでしょうか?


それは、「携帯に夢中になっている自分とは何か」.....という問いを発することです。



この問いによって私たちはふと我に帰ることが可能になるでしょう。


この問いは私たちを現実世界へと引き戻してくれる声です。



そして、この問いが起こってくるとき、それは「故郷」が私たちを呼び求める瞬間なのです。
posted by venus at 11:27| 生きている事を実感できる場を | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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