2009年10月30日

生きている事を実感できる場を

我が家にいながら家の外の領域へ引き連れられている現象を、ドイツの哲学者ハイデガーは「故郷喪失」と名づけました。


「故郷」とは、住み慣れた人間の本来の居場所、いわば自分が本来の自分に目覚める場、生きていることをリアルに実感できる場です。


「故郷」から私たちを引き離し、絶えず外へと向かわせているものとしてハイデガーが挙げているのは、テレビとラジオです。


この二つの媒体に対する私たちの関わり方は、受動的ですが、携帯は能動的なバーチャル空間を作っています。


しかし、この空間が人によって実に魅力的で刺激的であることは、テレビやラジオの比ではありません。


普段、「故郷」のことが私たちの意識にのぼらないのは、携帯によるこのバーチャルがリアルに感じられるようになったからです。


「郷愁」すら忘れられているからです。


となると、持っていないと不安にさせる携帯は、「故郷」から私たちをますます遠ざけているように思います。


では、何が私たちを「故郷」に帰還させることができるでしょうか?


それは、「携帯に夢中になっている自分とは何か」.....という問いを発することです。



この問いによって私たちはふと我に帰ることが可能になるでしょう。


この問いは私たちを現実世界へと引き戻してくれる声です。



そして、この問いが起こってくるとき、それは「故郷」が私たちを呼び求める瞬間なのです。
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バーチャルな対話空間にすむ

今では、絵文字を多用することによって、喜怒哀楽を伝えることがある程度可能になってきました。


実際に会って対話していなくても、メールを交わしている者同士は、ディスプレーを介してのいわば「バーチャル対話空間」を共有しています。


それは、電車の中でのメール送信は、意識だけが飛び出て相手との対話空間にいるということです。


自分の体は電車内にとどまっているのに、意識はバーチャル空間の方をリアルだ、と捉えています。


また、携帯を介しての空間移動は、、ときには周囲への弊害になることもあります。


たとえば、電車の中で二人の乗客が話し合っていることはさほど気になりませんが、携帯の話し声はそれ程大きくなくても、ど〜も気になります。


この違和感は自分の位置している空間に異空間が進入してきたことに起因しているようです。


「車内での通話はご遠慮ください」と、アナウンスするのは、車内で通話することが周囲に不快であることを物語っています。


つまり違和感は不快であり、公共性が強い空間の中での通話は、モラルに反することになります。



こうしてバーチャルなく有漢移動は家庭内であっても起こりうる事です。
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2009年10月28日

携帯電話に夢中

利便性を増大させている科学技術


電車に乗ると、携帯電話の画面を覗き込んでいる人が目に留まる。


この光景はもはや当たり前になり、携帯電話と現代人は密接な関係で結ばれている。


この当たり前を分析することで、私達の現在の有様が見えてくるのではないでしょうか?


携帯電話は電話だけでなく、メール、カメラ、テレビ、交通機関のチケット、電子マネーの機能まで備えている。


携帯電話は社会に利便性をもたらしたが、その一つは「持っていると便利」だったものが、「持っていないと不安になる」へと、私たちの心理を変容させたことです。


このことは、携帯の開発を可能にした科学技術が私たちの日常生活や心理状態に影響を与えていることを物語っています。


それはどういうふうに現れるのか....「コミュニケーション空間」という観点から具体的に考えてみると


人間にとってコミュニケーションの基本は「対面して言葉を交わすこと」です。


ここでは心情などが相互に表情に表れるなど、対話する者同士が共有するいわば「対話空間」が存在しています。


これまで文字を介してのコミュニケーションとして中心的であったのは、「手紙」でした。


手紙では自分と相手のいる空間が異なっているため、相手の表情を実際に見ることが出来ません。


しかし、文字や文体、あるいは使用した便箋などから、書いた人の心情を比較的に読み取りやすい。


携帯のメールの場合は....今、打った文字列が相手に瞬時に伝わり、また返信もリアルタイムで受け取ることができます。


しかし、手紙と違って、文字はコ−ドによるもので、そこには送信した人の心情を帯びることはなく、一律の文字列が並んでいるだけです。
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